はじめに
以前レビューしたα7Sは画素数が約1220万画素のカメラで「低画素でも写真で使える?」という内容でした。
で、今回はその真逆
「高画素ってどうなの?」
「初心者・中級者にとって、高画素って本当に必要?」
そんな視点で、ソニーの高画素機α7RⅡ(ILCE-7RM2)をレビューしていきます。
α7RⅡ 主な仕様
2025年7月時点の最新機種はα7RⅤなので、α7RⅡは3世代前の機種になりました。ただ、2015年発売当時はかなり革新的なスペックでした。特に4240万画素+5軸手ぶれ補正は、フルサイズミラーレスの中でも先進的な仕様だったと思います。
高画素って実際どうなの?
とにかく写りが繊細
約4,240万画素ともなると、とにかく写りが繊細、描写力が半端ない、リアルとか、つべこべ言わずに単純な言葉で伝わると思います。髪の毛1本、布の繊維、遠くの木の葉っぱまでしっかり写ります。、もちろん、それに見合った高性能なレンズであれば間違いないと思いますが、普及帯のレンズや、なんならオールドレンズを使ったとしても、充分に高画素の恩恵を得ることが出来ると思います。
特に風景や商品撮影には強いですし、「おー、解像感ってこういうのか」と感じたのは初めてでした。
トリミングに強い
「ちょっと構図失敗したな・・・」というときでも、あとから大胆にトリミングしても画質が保たれるのが高画素の強み。ブログ用に写真を切り出すときも便利だし、子どもやペットを遠くから撮っておいて、あとで拡大しても画が破綻しない。これは低画素機ではできない芸当ですね。
1.リサイズのみ(1800px ✕ 1200px)
2.トリミング(1000万画素相当)+リサイズ(1800px ✕ 1200px)
3.トリミング(240万画素相当 1800px ✕ 1200px) ※縮小なし
実際に撮ってみた感想
風景や建物を撮るのが楽しい
何を撮っても細かく写るので、風景や建物がとても楽しいです。「この葉っぱ、ここまで写る?」みたいな驚きがあるし、逆光や日陰でも情報量が多いから、現像での調整もしやすいです。
ポートレートも意外と良い
高画素=シビア、という印象があったんですが、意外とポートレートにも良いです。特に、しっかりピントが合ったときの目元や髪の質感は「おぉ…!」と感動レベル。ただし、ピントがシビアなので、失敗も目立ちます。そこはAFの制度や自分の腕次第ですね。
掲載出来るような作例がないので、人物のバックから撮影した写真から一枚
シャッターフィールが心地よい
α7RⅡのシャッター音は軽すぎず重すぎず、「カッシュン」って感じが心地よくて、シャッターを切るのが楽しくなるカメラです。α7Sはシャッターを切るとガシャンって感じで、とても使いたいと思いませんでした。結果、ほぼサイレントモードにしています。まあ、サイレントモードのメリットもわかっているので、けっして悪くはないんですが、心地よいシャッター音と振動を感じながら写真を撮りたい気分の日もあるしね。
メニュー→カスタム設定(歯車マーク)のメニュー5に「電子先幕シャッター」というのがあり、これが「切」になっていれば「入」にする
α7RⅡのよかったところ(メリット)
裏面照射型センサーで高感度も割と強い
「高画素=高感度に弱い」というイメージがありますが、α7RⅡは裏面照射型(BSI)センサーなので、意外と高感度もイケます。ISO3200くらいまでは普通に使えるし、6400でもブログやSNSなら十分。夜景も「粘り」がある印象でした。
注意:使い方によっては暗部ノイズが目立つことがある
ただし、すべての条件で完璧というわけではありません。下の写真は、ISO AUTOにして撮影した写真です。カメラ側の自動露出は少し明るめにする傾向があるようなので、暗部ノイズが目立っています。
じゃあ、露出を下げて撮ればいいんじゃないかと思われるかもしれませんが、やはり適切な露出にして撮ることが基本です。回避するにはISO AUTOにせず、あらかじめISOを固定しておき、F値とシャッター速度で露出を決めるのが良いと思います。
この辺は自分で軽く検証してみた結果、ISO AUTOで撮影した際に、撮影条件によって自動的に感度や階調処理が強めに働いているんじゃないかと思えてきました。その結果、暗部に色ノイズが出やすくなる傾向があるのかもしれません。試しにISO感度を固定して同じシーンを撮ってみると、ノイズはあまり目立たなったように感じました。
詳しい技術的理由までは明確ではありませんので、正しくないかもしれませんが、「AUTO任せでは意図しない処理が入る」ことがあるという点は覚えておくと、役に立つかもしれません。
手ぶれ補正が本当に頼りになる
5軸手ぶれ補正が強力なので、スローシャッターでも手持ちでなんとかなります。
オールドレンズでも手ぶれ補正の効果があるので、オールドレンズ派もありがたい仕様です。
作例はオールドレンズの「Contax Sonnar 135mm F2.8 MMJ」で撮っています。ご覧の通り手ぶれ補正が効いているおかげで、シャッター速度 1/60でも手ぶれしている感はないですね。
クロップ機能が便利
高画素ならではのクロップ機能活用がとても便利です。クロップをすると約4240万画素→1800万画素相当あるので画素数に不満はないですし、何より寄れないレンズをクロップして使えば、サクッと寄れちゃうところがいいんですよね。
クロップ
中古価格がかなり手ごろに
発売当初は約40万円でしたが、2025年8月時点では中古で10万円以下(ボディ単体)で買える中古も増えてきました。この価格でこの画質が手に入るのは、かなりコスパが高いと思います。
α7RⅡの気になったところ(デメリット)
ファイルサイズがデカすぎ問題
RAW1枚あたり40〜50MB。JPEGは10MB以上。私はRAW+JPEGで撮る派なので、1枚60MB、32GBのSDカードでは約530枚。当然、枚数が増えてくると、SDカードとPCはすぐにパンパンになります。加えてPCのスペックが低いと、読み込みも書き出しも遅くて地獄です(涙)
バッテリーがすぐ切れる
これは初期のαシリーズ全般に言えることですが、バッテリーの持ちが悪いです。静止画メインですが、予備がないと半日撮影は不安なので、常に予備バッテリーを2個持ち歩いています。
動作がちょっともっさり
起動、画像再生、メニュー移動など、現行機に比べるとややもっさりしています。特に電源を入れてから使える状態になるまでの時間が長く感じますね。サクサクというより、じっくりと撮るってスタイルなら気にならないかもしれませんが、スナップで使う場合はレスポンスは大事ですから、この辺はもう少しキビキビして欲しかったですね。
センサーのゴミ取り効果が薄い
α7Sでも書きましたが、α7RⅡも同じくセンサーにゴミが付きやすい点が残念なところです。オートクリーニング機能はほとんど効果を感じられません。
そもそも、α7RⅡのクリーニング機構は簡易的なものに近く、電源オンオフ時にブルブルっと軽く振動するだけ。物理的にゴミをしっかり落とすような力強さはなく、あくまで気休め程度という印象です。
最近、久しぶりにキヤノン EOS 6Dを手に入れましたが、こちらのセンサークリーニング機能は効果があるようで、いまのところゴミはついていません。当たり前か(笑)他のカメラと比べてはいけないかもしれませんが、その差ははっきり感じます。キヤノンの「超音波振動」でゴミを弾き飛ばす方式を採用していたなら、センサーにゴミが付く頻度はかなり低めだったかもしれません。
ミラーレスは構造的にどうしてもゴミが付きやすいので、ゴミ取り機能はしっかりして欲しいところでしたが、こればかりは仕方ないですね。
レンズ交換を頻繁にするなら、こまめなクリーニングで上手く付き合っていきましょう。
参考 センサー清掃の仕方
https://bonpon424.com/entry/image-sensor-cleaning
α7RⅡはこんな人におすすめ
向いている人
•トリミング前提で撮影したい人
•風景や建物をしっかり撮りたい人
•写真を大きくプリントしたい人
•RAW現像をしっかりやりたい人
•手ブレ補正付きでオールドレンズを楽しみたい人
向いていない人
•軽快にスナップを撮りたい人
•動きのある被写体を撮りたい人(AFがちょっと弱い)
•ストレージやPC性能に不安がある人
•撮影枚数が多くなる人(ファイルサイズ問題)
作例
まとめ:今さらでも全然アリも目的次第
「α7RⅡは今さらでも買いか?」と聞かれたら、迷わずに「アリです」と答えます。
ただ、以下のような前提がある人に限ります。
•高画素のメリット(解像感・トリミング耐性)を理解している
•PCやストレージにある程度余裕がある
•動きモノをバリバリ撮るわけではない
逆に言えば、「何でもかんでもこれ1台で!」という使い方には向いていないとも言えます。
でも、ハマれば最高に楽しいカメラですよ。
特に中古価格が下がってきた今、初めての「高画素フルサイズ」として選ぶのは大いにアリだと思います。
最後に
今回は「α7RⅡって今さらどうなの?」というテーマでレビューしてみました。
「高画素って重いし、扱いにくそう」という不安があるかもしれませんが、実際に使ってみると「画質の説得力」は圧倒的。
もし「もっときれいに撮りたい」「細かい部分まで描写したい」と思っているなら、ぜひ一度手にとってみてほしい1台です。
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