色々な雑誌やWEBに掲載しているPlanar 50mm F1.4で撮った写真が素敵だったので、いつか「プラナーのレンズを使ってみたい」って思ってました。結局、すぐには買わずに数年が経過してしまいましたが、ようやく程度の良い中古を見つけ、憧れのPlanar 50mm F1.4を手にすることが出来ました。ということで、作例とともにこのレンズの感想など書いてみました。
このレンズに関する記事はあふれる程あると思うので、新鮮さはないかもしれませんが、少しでも参考になれば幸いです。
ちなみに、レンズに関する技術的なことは詳しくないので、この記事の内容は、自分が気になって調べたことを書いた備忘録が多いです。最初に断っておきますね(苦笑)
プラナーのこと
Planar(プラナー)の意味を調べてみると「平坦な」という意味のドイツ語「Plan」から名前がついたようですね。
Planar(プラナー)は、1896年にCarl Zeissのレンズ設計士Paul Rudolph(パウル・ルドルフ)博士が開発したレンズで、オリジナルのレンズ構成は4群6枚の左右(前後)対称になっています。
1972年には多層膜反射防止コーティングを新しい規格とし、それまでついていたTマークに*を付けて『Tスター』の称号が与られるようになりました。*の意味は『星のように輝き進化する』という意味を込められているようです。なんだか感慨深いですね。
Planar 50mm F1.4 AEJ
今回、手に入れたレンズはヤシカコンタックスマウント(CY)のAEJタイプになります。
PlanarにはAE*とMM*の2つのタイプがあり、性能的にはMM*の方が良いと言われています。とくに絞り開放から一つ絞ると手裏剣状のボケが発生したり、フレアが出やすいとかありますが、一番はMM*の方がレンズ曇りの発生(バルサム切れ)が高いという噂があったのが理由です。バルサム切れが発生した場合は、普通は修理不可能でしょうからね。
バルサム切れのことは、少し下の方に書いています
仕様
・レンズ構成:6群7枚
・絞り羽根枚数:6枚
・最小絞り値:F16
・最短撮影距離:0.45m
・フィルター径:55mm
・重量:275g
AEJの手裏剣ボケ
手裏剣ボケになるのは、F値がF2とF2.8のときに発生し、F4で6角形になるので、ようやく手裏剣ボケは出なくなります。これは絞り羽根の長さがわずかに足りないことが原因でAE*タイプだけの問題で、MM*タイプはこれが解消されております。
※F2.8はありませんが、ほぼF2と同じなので割愛
ヤシカ/CONTAXが発売された当初の1975年からのレンズがAE*で、1985年頃からはMM*になっているようです。
https://bonpon424.com/entry/sonnar-135-28
AE*とMM*についてはこちらの記事内にある「AEJとMMJの違い」でも説明しています。手裏剣ボケが発生するF値が異なりますが、それ以外はほぼ同じ仕様と思われます。
気になるバルサム切れ
プラナーを購入するときに一番気になるのは、レンズの曇り具合です。通称『バルサム切れ』って言われている致命的な症状です。
Planar 50mm F1.4の場合はレンズの貼り合わせがある4枚目と5枚目のガラス接合面で起こります。バルサムの種類が変更になったのかわかりませんが、どうもMM*タイプの方がバルサム切れの発生率が高いということだそうです。
α7シリーズに取り付けてみたイメージ
ソニー、キヤノン、ニコンなどのレンズ交換が出来るカメラで使用する場合は、マウント変換アダプターを使用して取り付けします。マウント変換アダプターも種類があって、値段も様々ですが、アダプターの性能も写りに影響を及ぼすこともありますので、よく調べて購入するよ良いと思います。
写りに影響する部分なので、評価の良いものを選ぶと安心ですよ
作例
スナップ、料理、花、風景と4つのパターンで撮ってみました。
少しでも参考になれば幸いです。
スナップ
プラナーのレンズで何を撮ろうかって思ったら、まずはポートレートやスナップが思いつきますよね? さっそく街へ出かけて撮ってきました。
初のスナップは旭川駅のイベントでした。露出やピクチャープロファイル設定をどうしたらよいか試行錯誤しながら撮った1枚でした。プラナーは逆光で撮った時のコントラストの低下、フレアや明るい部分の滲み、そういうのが絶妙に絡み合うことで、素敵な写真が撮れるんじゃないかなって勝手に思っています。確かな根拠がない勝手な感想です。^^;
次は札幌の大通公園。この写真は6月初めで23℃だと札幌では暑いくらいの気温ですけど、まだ半袖を着ている人は少かったです。プラナーで撮るときは絞り開放が基本だって思っているので、もちろん絞り開放で撮っています。撮り方が悪いのは目をつぶってもらって、被写体とそれ以外の部分のボケ具合が絶妙だって思いました。これが空気感がある写真っていうことなのかな?
ただ、光の入射角度によってはオールドレンズらしいフレアも出ますので、この辺は気をつけながら撮らないといけないですね。タクマーみたいに綺麗な虹色ならOKだけど、これはちょっと・・・ですね。
手に入れたレンズだけかもしれませんが、こんなフレアは流石にいただけません。
こちらは北大祭のときに撮った写真。少し明るめにして撮る家族写真が、お気に入りの撮り方です。赤ちゃんの足がちょこっと見えるのが可愛いよね。
夕暮れの海岸。ピクチャープロファイルは夕景モードにして撮影。
ピントは人物に合わせているので、その部分はくっきりと、そして周辺と海のハイライトの部分が柔らかな感じで撮れています。それと若干の周辺光量落ちがあるからなのか、人物が浮かび上がっているように見えるんですよね。それがプラナーの特徴なのかもしれません。
料理
最短撮影距離が45cmなので、あまり被写体に寄れないこともあり、料理の写真はなかなか撮りにくいですね。なので、外で料理の写真を撮るときは違うレンズを使うので、作例は少なくてすいません。
パスタにスープが絡んでいる部分の艷やかな感じ、眼の前に料理があるかのような感じ、なんとなく伝わるでしょうか? プラナーのようなオールドレンズは高価なレンズとは違った、柔らかな雰囲気の写真が撮れるので、デジタルっぽくないところがいいね。
花
プラナーは露出をプラスにして明るめに撮った写真が合うと思います。あと彩度とかも気をつけたいので、プラナーで花を撮る時はピクチャープロファイル設定を「ニュートラル」にして撮るといいみたいですよ。
良いところばかりじゃありません。このレンズは背景のざわつきが気になるんです。背景との距離によっては写真のようにざわついたように撮れるので、こういう場合は違うレンズの方が良いと思います。当たり前ですが、プラナーといえども万能じゃありませんね^^;
風景
F5.6以上にして撮れば、シャープさが増すので風景写真もご覧の通り問題ありません。
とはいえ、逆光の場合はコントラストの低下やフレアに気を付けないといけないので、光の具合を計算に入れて撮るようにしましょう。
この写真はピクチャープロファイル設定を「風景」にして撮っています。
JPEG撮って出しです。
石狩新港の風力発電。これは「ニュートラル」にして撮りました。
淡い色合い、柔らかでフィルムっぽい雰囲気がいい感じです。
作例の最後は自宅から見た朝焼けです。これは「風景」にして撮っています。
上は絞り開放 F1.4で撮ったもので、周辺減光が強く出ています。下の写真はF5.6で、少し絞れば周辺減光は目立たなくなるようです。
まとめ
プラナーといえば、コントラストが高く、絞り開放時の繊細なボケと透明感がある描写、そして光の加減によって発生するフレアが特徴的なレンズです。いま発売されている、カリッカリにシャープで逆光にも強く、コントラストも高い、なんてレンズではありません。
Planar 50mm F1.4 AEJは現代のレンズと比べば、性能はすべて劣るかもしれませんが、絞り開放で撮ったときの、ピント面はクッキリ、それ以外は柔らかボケ、ほどよいフレア、ハイライト部分の絶妙な滲み、これが相まったときは、他のレンズで撮ることが出来ない素晴らしい写真を撮ることが出来ます。そんな写真が撮りたくて、今日もPlanar 50mm F1.4 AEJを持ち出しています。
最後まで読んでいただきありがとうございました
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