気になっていたレンズ『七工匠 7Artisans 55mm F1.4』を購入しました。実際に使ってみたファーストインプレッションは、価格に見合わずよく写るぞっという印象です。
レンズ自体はAmazonや楽天で12千円台〜(2021.2.10時点)で販売されており、メーカー純正の高価なレンズと比べれば、お手頃な価格となっています。純正以外でレンズ交換を楽しみたい方に是非オススメしたい一本です。
ピントを合わせて撮るので、写真を撮ってるーって感じがして楽しいですよ。
使う前に…カメラの設定を変更しないとシャッターが切れません
このレンズは電子接点がついていないので、カメラ本体にレンズを取り付けても、カメラはレンズを取り付けたことを認識出来ません。そのためカメラ本体の設定を初期状態のままにしていると、大抵はレンズをそのまま取り付けても、シャッターを切ることが出来ないようになっています。
理由は本体にレンズが装着されていないときは、シャッターが切れないよう工場出荷時はOFFに設定されていますので、レンズなしレリーズをONにして、レンズが未装着でもシャッターが切れるようにします。
※おそらくどのメーカーも同様だと思います。
設定を忘れて焦ってしまうことがあるので注意してね。
カメラの設定を変更する
カメラ本体にレンズを装着した際、正しく装着されてレンズを認識する場合にシャッターが切れる動作に変更します。
<設定方法> ※富士フイルム X-T2の場合
- 電源を入れる
- MENU/OKボタンを押す
- メニューの中の「レンズなしレリーズ」を選択
または
セットアップメニュー >
操作ボタン・ダイヤル設定内の「レンズなしレリーズ」を選択 - ONにする
7つの良いところ
玉ボケがきれい
このレンズの1番のお気に入りが綺麗な玉ボケです。絞り羽が14枚もあるので写真のようにきれいな玉ボケで撮ることが出来ます。
ただ、絞り開放 F1.4で撮るとボケが楕円形でしたので、綺麗な円形の玉ボケにして撮りたいなら、絞りをF2.0以上にすると良いと思います。F2.8→F5.6に上げたときの円形の大きさはご覧の通りです。
※このレンズの絞り値は無段階のため、F値はおよその値となっています。
背景に光があると、無性に玉ボケがある写真を撮りたくなる魔性のレンズです(笑)
やわらかなボケがきれい
ピントが合っている部分はシャープ過ぎず、ピント以外の部分は柔らな感じにボケてくれます。
この適度なとシャープさとボケによって、立体感のある写真が撮れますよ。
このレンズの柔らかなボケが気に入ってます。
キャベツはみずみずしく、お蕎麦も美味しそうに撮れてますね。
バラの写真、ピント部分はシャープに周辺は柔らかなボケがいいですね。
バラの芯に合わせて撮影。 ※作例追加 2023/06/10
こっちのバラはF5.6位に絞って撮影。シャープに写したい部分はしっかりと解像しています。
しっかりと解像しているので、花の傷み具合まで写っているのがわかります。
絞り開放でもピンが合っている部分は強すぎない程度に、それ以外の部分は綺麗にボケていくので、こういうグラデーションになっている被写体を撮るのが楽しいんです。
最短撮影距離は35cm
仕様では35cmとなっていますが、これはレンズの先端から35cmとなっています。
実際に測ってみたところ約34cmでしたので、ほぼ仕様の通りでした。
(数字の5にピントを合わせています)
過去に購入したNeewerの50mmF2の最短撮影距離は70cmで、被写体に寄れないこともあって使用する機会があまりありませんでした。このレンズは35cmまで寄れるので、色々なシチュエーションで使えるような気がしています。
35cmまで寄れると物撮りにも使えて便利!
逆光に強い
太陽を入れて撮りたいときがあるので、実際はどうなのか試してみました。
1枚目 F5.6付近 朝陽
太陽を入れて撮っていますが、コントラストの低下はあまり感じませんでした。
2枚目 F10付近 朝陽
光芒を撮りたくてF値を絞ってみましたが、あまり上手く撮れていません。
別の機会に試してみたいと思います。
逆光でもコントラストがあまり低下しないので、太陽を入れて撮っても大丈夫だと思います。
3枚目 F10付近 夕方
結構、強い太陽光でしたが、コントラスト低下はあまりなく、山々のシルエットを残しながら撮ることが出来ました。
キリッとしたシャープな感じはありませんが、ボケボケした感じでもありません。
デジタルっぽくないのがいいですね。
フィルムライクな優しい感じの写真っていいですよねぇ
下は上の写真を切り取った写真です
4枚目 F14付近 絞り羽根が14枚なので、光芒(絞りウニ)は14本 意外ときれいに線が出ています
光芒が入った写真が好きなので、線の数と形が気になっていましたが、これなら満足出来るレベルです。
風景は無望遠にして簡単撮影
風景を撮るときのフォーカスは無望遠にして撮影することになります。フォーカスは無望遠固定で、絞り値のみを変化させてシャッターを切るだけなので、被写体にピントが合っているのか不安な感じもしますが、どれもボケなく綺麗に撮れていたので、フォーカスは無望遠に調整しも大丈夫みたいです。
オーバーインフはこのレンズだけではなく、他のレンズでも同じだと思いますよ。
1枚目 絞り値 F5.6付近/フォーカス 無望遠
2枚目 絞り値 F2.8付近/フォーカス 無望遠
3枚目 2枚目の一部を切り取ったものです。小さな文字はくっきりとしていませんが、価格見合いで考えると、これくら写っていれば十分だと思います。
歪曲収差は小さい
歪曲はゼロが望ましいですが、高価なレンズでも歪曲ゼロのレンズはそれほど多くは存在していませんので、このレンズの歪曲具合はあまり期待はしていませんでした。
実際撮ってみると糸巻収差はあるものの、それほど大きくはなく良い意味で期待外れでした(嬉)
ちなみにXF35mmF2を持っていますが、このレンズはカメラ内補正があるにもかかわらず、樽型の歪曲が大きいのが唯一残念な部分なんですよね。
床上80cmから撮影 歪曲収差はあまり感じませんが、撮る距離によっては糸巻型歪実がみられる場合がありました。
正確に測っている訳ではなくて、感覚的なものなので、写真をみて判断して下さいね。
建物の柱や窓枠も真っ直ぐに見えます。歪曲収差は感じませんね。
艷やかな写真が撮れる
表現が難しいですが、光が反射している部分は艷やかに写してくれますので、 撮った写真をあとからMacのモニターで見たときに、思わずニヤッとしてしまうことも
このレンズで一番気に入っているところです。光が反射している部分を見ると、思わずニヤッとしちゃいます。
周辺減光を上手く利用して撮影
露出を下げて撮るとF5.6付近でも周辺減光がみられました。性能の良いレンズでは出来ない周辺減光を利用した写真を撮ることが出来るんだと思えば、周辺減光はデメリットではなく、このレンズのメリットになりますね。
1枚目 F5.6付近 露出−0.3
こちらは周辺減光とボケ具合を比較した写真です。
左上 露出を上げることで、ガラス飛散防止ワイヤーが見えなくして撮影
右上 F1.4でも露出を下げるとボヤッとワイヤーが見えます
周辺減光がみられます
左下 F5.6付近だとワイヤーのかなり見えるようになりました
まだ周辺減光がみられます
右下 F16にするとワイヤーがはっきりと見えるようになりました
周辺減光はほぼありません
使いにくい点
良いところばかりのパーフェクトなレンズだったらいいんですが、このレンズってなぜか絞りリングとフォーカスリングが通常のレンズと逆になっています。写りには関係ないいですが、どうしても絞りリングをフォーカスリングと間違って動かしてしまいます。これはさすがに使いにくいなと思いました。 絞り値の方向が逆ということもあり、慣れるまでしばらく時間がかかりそうです。
メーカの仕様なので仕方ないですけど、純正レンズと逆だと撮影に集中出来なくなるのが辛いところです。
レンズ仕様
■フォーカス:MF(マニュアル)無段階調整
■対応撮像画面サイズ:APS-C
■絞り:F1.4-F16
■レンズ構成:5群6枚
■絞り羽根:14枚
■最短撮影距離:0.35m
■フィルター径:49mm
■サイズ:Φ57mm×60mm
(最短撮影時は60mm→70mm)
■質量:約280g
レンズマウント
4つのメーカーに対応したレンズマウントが販売されています。
富士フイルム、キヤノン、ソニー、マイクロフォーサーズ
※2023年5月現在 後継機種「55mm F1.4 II」になっております。
まとめ
このレンズは価格が手頃なのに安っぽさがなく、性能的にも良い点ばかりが目立つほどコストパフォーマンスに優れています。マニュアルレンズなので、万人受けはないと思いますが、カメラまかせで素敵な写真を撮るよりも、上手く撮れたときの喜びは大きいと思います。
皆さん参考になったでしょうか?
最後まで記事を読んで頂きありがとうございました。
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