富士フイルム XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS(以下、XF55-200mm)を2020年に購入して3年が過ぎました。このレンズは風景写真を撮るために中古で5万位で購入しましたが、写りが予想以上に良くてお気に入りのレンズになっています。
発売は2013年で新しい設計のレンズではなりませんが、この頃のXFレンズは光学設計や造りにこだわり感じられる良いレンズばかり。XF55-200mmもその中の一本ですね。
このレンズはいまでは珍しいMADE IN JAPANなんですよ
XF55-200mmは光学式手ぶれ補正機能が内蔵されていますので、手持ちでもブレを最小限に抑えることができます。写りの良さに定評のあるレンズなので、望遠ズームをどれにしようか迷っているなら、まずはこのレンズを検討してみると良いですよ。
それでは、コスパ最高のこのレンズについてレビューしていきます。
レンズ比較(仕様)
まず最初にXF55-200mmのほかに候補となるXF18-135mmとXF70-300mmの3本のレンズについて仕様をまとめてみました。
価格、サイズ、重さ、性能などを比較してみて、購入時の参考にしてして下さい。
型番 | XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS | XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WR | XF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WR |
レンズ構成 | 10群14枚 (非球面レンズ1枚、異常分散レンズ2枚) |
12群16枚 (非球面レンズ4枚、異常分散レンズ2枚) |
12群17枚 (非球面レンズ1枚、EDレンズ2枚) |
焦点距離 | f=55-200mm (35mm判換算:84-305mm相当) |
f=18-135mm (35mm判換算:27-206mm相当) |
f=70-300mm (35mm判換算:107-457mm相当) |
手ブレ補正 | 最大補正効果5段分 | 最大補正効果5段分 | 最大補正効果5.5段分 |
最大口径比(開放絞り) | F3.5-F4.8 | F3.5 – F5.6 | F4-F5.6 |
最小絞り | F22 | F22 | F22 |
絞り形式 | 羽根枚数:7枚(円形絞り) | 羽根枚数:7枚(円形絞り) | 羽根枚数:9枚(円形絞り) |
ステップ段差:1/3ステップ(全17段) | ステップ段差:1/3ステップ(全17段) | 1/3ステップ(全16段) | |
最短撮影距離(撮像素子面から) | 標準 1.1m – ∞ マクロ 1.1m – 3m |
標準 0.6m – ∞ マクロ 45cm – ∞ |
0.83m – ∞ |
最大撮影倍率 | 0.18倍(T端) | 0.27倍 | 0.33倍(T端) |
外形寸法:最大径×長さ*1 (約) | ø75mm × 118mm(W端) ø75mm x 177mm(T端) |
ø75.7mm × 97.8mm(W端) ø75.7mm x 158mm(T端) |
Ø75mm x 132.5mm(W端) Ø75mm x 205.5mm(T端) |
質量*2 (約) | 580g | 490g | 580g |
フィルターサイズ | ø62mm | ø67mm | Ø67mm |
標準価格(税別)※2023年8月時点 | 93,000円 | 124,000円 | 128,700円 |
発売日 | 2013年5月 | 2014年7月 | 2021年3月 |
なにを優先するか
XF55-200mmが良いレンズなのは間違いないですが、念のために他のレンズと比較して確認してみましょう。
・使いたい焦点距離をカバーしているのか?
・重さや、大きさは?
・予算(新品or中古)は?
焦点距離をどう考える?
まず、XF55-200mmは比較的コンパクトなサイズで、広角55mm(換算82.5mm)から望遠200mm(換算300mm)まで幅広い焦点域をカバーしています。このレンズはポートレート、風景、日常のシーンまで多彩な撮影に対応出来るので、手に入れて欲しい1本となっています。
広角側は55mm(換算84mm)なので中望遠として使えますし、望遠側は200mm(換算305mm)もあるので、たいていのものはこれで不足はないと思います。
余談になりますが、X-T5やX-H2をお持ちなら、デジタルテレコン機能で1.4倍(2000万画素)と2倍(1000万画素)が選択出来ますので、上手く使えば換算600mmの超望遠レンズとして使うことも可能ですね。
ただし、3本の中で唯一防塵防滴構造ではないので、悪天候での撮影は制限されるところがありますので、使用したい場面によっては候補から外れるかもしれません。
一方、XF70-300mmは焦点距離が広角70mm(107mm)から望遠300mm(換算457mm)の範囲となるので、広角側は若干弱いですが、望遠側は100mm(換算で152mm)のアドバンテージがあり、とにかく遠くの被写体を大きくして撮りたい場合は、このレンズを選ぶとよいでしょう。
XF18-135mmは望遠側が135mm(換算205mm)と物足りないものの、広角側が18mm(換算27mm)スタートなので、広大な景色をワイドで切り取ったり、遠くの景色をズームで切り取ったりすることが出来る万能レンズです。それに防塵防滴構造なので、旅行や登山で「レンズは一本のみ」なんて縛りがあるときには、このレンズを使うと便利ですね。
XF55-200mmにするか、ほかの2本どちらかにするか迷いますね
性能・仕様をどう考えるか?
XF18-135mmは使っていたので、この2本の写りを比べるとXF18-135mm < XF55-200mmかなと思います。XF70-300mmは光学設計を見直しており、写りは間違いなく良いはず。
というわけで、写りの良さは
XF18-135mm < XF55-200mm < XF70-300mm
でしょう。
AF速度は使用するカメラによって変化するかもしれないですが、メーカー公表値より
XF55-200mmは最速0.28秒 < XF70-300mmは不明 < XF18-135mmは最速0.10秒
こんな順順番じゃないかと思います。
仕様ではXF55-200mm以外の2本は防塵防滴構造なので、撮影時の天候に左右されにくい仕様となっています。カメラボディが防塵防滴構造であれば、レンズも防塵防滴構造のタイプを選択したいところですが、ここは使う人の撮り方次第で必要か不要か分かれると思います。
雨降りに撮影や砂埃が多い場所での撮影はほとんどしないなら、防塵防滴構造がなくても良いかもしれません。
サイズや重さはどう考えるか?
XF55-200mmは軽量かつコンパクトな大きさで、且つ、しっかりとした造りなのに重さは580gで比較的軽い方のレンズだと思います。鏡胴部分のサイズはXF55-200mmとXF70-300mmがø75mmと同じサイズ。長さはXF70-300mmが14.5mm長いですが、望遠側100mm長い分を差し引けば気にならないレベルですね。
サイズや重さでは、どれがいいか決められないなぁ
予算はどうする?
XF55-200mmは3本の中で一番コストパフォーマンスにも優れていると思います。3本のレンズの中では一番低価格なので、予算を押さえたい場合に一番おすすめのレンズですね。
XF70-300mmは長い焦点距離と防塵防滴構造、光学性能が良くなっており価格も高めですが、そのバランスの取れた性能を考えれば、手ごろな価格かもしれませんね。予算がある方は候補になりますね。
XF18-135mmは広角18mmスタートなので、他の2本とは異なる使い方になるかもしれません。このレンズは高倍率ズームとして使い勝手が良く人気のレンズなので、中古市場でもXF55-200mmより少し高めの価格帯になっております。、このレンズを選んだ場合は予算が少し高くなるかもしれません。
単純な比較ではXF55-200mmは不利な面が多いですね。しかし焦点距離は除いて写りに関しては、並べて比較してみないと、おそらくわからないレベルでしょう。
最終的には予算がポイントになるかと思いますので、どれも妥協したくなければ、XF70-300mmを選択、低予算でいきたいならXF55-200mmを選択というところでしょうか。
価格比較
XF55-200mm < XF18-135mm < XF70-300mm
となっています。
使い始めたら手放せない理由(作例あり)
ここからは作例を交えながら、XF55-200mmの良さを紹介していきます。
使いやすい焦点域
XF55-200mmはの良い点としてズーム範囲の使いやすさが挙げられます。ポートレートから風景、動物、日常のシーンまで、あらゆる瞬間を美しく切り取ることができます。一つのレンズで多様な撮影を楽しめる点は、持ち運びの便利さも加えておすすめしたいポイントです。
↓写真は5月の夕方に撮った灯台です。※写真は縮小のみで、それ以外はJPG撮って出しです。
広角側 55mmでは灯台がかなり遠くに見えますが、望遠側200mmにして撮ると結構近くに寄せて撮ることが出来ますね。
風景写真でも、撮り方によってはこのレンズ一本で済ませることが出来ますよ
※画像クリックで拡大
↓こちらは9月の朝焼けです。焦点距離 55mmで撮った写真がなかったので、67mm、135mm、200mmの3つの焦点距離で撮ったものになります。
写真でみると135mmと200mmの差は結構大きく感じますね。135mmだとちょっと望遠域が欲しいと思うことがあるので、200mmまであるXF55-200mmならあと一歩のところまでアップして写せるのが良いところです。
135mmはXF18-135mmの望遠域と同じ焦点距離ですね
お値段以上の光学性能
XF55-200mmは高性能なガラス製レンズを採用しております。特に蛍石レンズに匹敵する性能を持つスーパーEDレンズ1枚を含む2枚のEDレンズを使用し、長焦点領域で発生する色収差を良好に補正しておりますので、シャープで切れ味豊かな描写がズーム全域で期待できます。
被写体の細部までクリアに捉え、色彩も鮮やかに再現するので、写真の中の感情や雰囲気を豊かに表現できます。また、手ブレ補正機能のおかげで、手持ち撮影でもブレを最小限に抑えることができ、低速シャッターでもブレのないシャープな写真を撮ることが可能です。 ※効果には個人差があります
↓5月に撮影したウトナイ湖の写真です。 このレンズは200mmで少し解像力が落ちると言われておりますが、ご覧の通り、カリッカリのシャープさはありませんが、等倍に拡大してもそれほど解像力の落ち込みが気になるレベルではないように思えます。
少し甘めの解像力の方が写真っぽくていいかも?って考えればOKですね!
↓シャッター速度 1/85でも手持ちでブレのない写真を撮ることが出来ました。
↓5月に撮影した美瑛の写真です。春先はまだ残雪の白さと森の緑がきれいな季節です。
ご覧の通り、遠くの山肌の部分と白樺の木が一本一本が解像しているのがわかると思います。これだけ写ってくれれば十分ですね。
広角レンズで撮る雄大な風景写真も好きですが、望遠寄りにした引き算の写真もいいと思います。
ボケ具合
高性能レンズのような欲張り設計の仕様ではないので、レンズは比較的コンパクトな設計になっています。それと引き換えにF値は広角側 55mmでF3.5、望遠側 200mm F値4.8となっており、ボケはそれほど大きくありませんが、撮り方によっては十分にボケを活かした写真が撮れるのが、このレンズの良いところです。
↓5月撮影の桜並木。焦点距離200mmで撮ったときのボケ具合はこんな感じです。ボケすぎないので、周辺の雰囲気がわかるので、どこで撮影したのか把握出来るところが良いですね。
↓こちらは焦点距離150mmで撮影した桜です。手前の桜は最短距離以下の近さにしたので、かなりボケ具合が大きくなっています。
レンズの最短撮影距離の範疇外にして撮ることで、手前ボケを大きくすることが出来ますよ
↓10月撮影の紅葉。紅葉を浮かび上がらせるようにするため、出来るだけ背景がスッキリとした場所を選んで撮影しています。
スムーズな操作性
このレンズというか富士フイルムのズームレンズはとても操作性が良いのが特徴です。リングをスムーズに回すだけでズーム・フォーカス・絞り値の調整が可能なので、直感的に操作できます。
とくにズームリングは適度な重さがかかっており、画角の調整がしやすいです。絞りリングは1/3段の切り替わりがしっかりと伝わってくるので、操作している感じがとても気に入っています。
あらゆるシチュエーションに対応
XF55-200mmはコンパクトなサイズでありながら、その高性能な性能によって、どんな状況でもクリエイティブな写真を撮ることができます。一度使い始めると、その魅力の虜になり、手放せなくなることでしょう。XF55-200mmとともに、新たな写真の世界に飛び込んでみませんか?
ここだけは残念
価格面から考えれば、性能、大きさ、重さ、操作性、高級感のどれもが満足出来るレベルで文句のつけようがないレンズです。
・・・が、欲を言えばパープルフリンジとゴーストをもう少し抑えてくれれば、もっと評価の高いレンズになった気がします。
ただ、逆光耐性は悪くなく、フレアは抑えられている方だと思いますので、太陽の位置を考えて撮れば、パープルフリンジとゴーストが写らないように撮ることも可能です。
↓冬の美瑛で撮影。雪の白さを保ちながら太陽を入れたら、こんなに盛大なパープルフリンジが出てしまいました。少し無茶な撮り方だったかもしれませんね。
↓日の出のタイミングでは写真右にゴーストが発生しています。角度を変えたりすれば、ゴーストを抑えた写真を撮ることが可能です
↓朝、太陽が昇ってきたときに、ようやくゴーストが写り込まなくなりました。
JPG撮って出しでも、コントラストの低下が感じられないので、あらためて優秀なレンズだなって思いました。
おわりに
作例が風景と花の写真ばかりでしたが、XF55-200mmの良さが市腰でも伝わってくれていれば幸いです。
風景からポートレートまで、幅広い撮影ジャンルで活躍出来るXF55-200mmレンズは、写りの良さと使いやすさ、造り、価格を考えると、本当にコスパの良いレンズです。
富士フイルムの優れた技術が凝縮されたMADE IN JAPANのレンズを手に入れて、素敵な写真を沢山撮りましょう。一度使い始めたら、きっと手放せなるなるレンズになると思いますよ。
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