2022年4月にXF23mm F1.4 R (旧型) ※以降 呼称は”旧型“を購入して使い始めてから一年が過ぎました。いまは常用レンズになっていて、それ以外のレンズは出番がなくなるくらい愛用しています。
すでにXF23mm F1.4 R LM WR(新型) ※以降 呼称は”新型“ が発売されており、このレンズは旧型となってしまいました。といっても、新型は『WR』の称号の通り防塵防滴対応となりました。当然ながら光学性能も刷新されましたので、新型というより別レンズですね。
新型は性能が良いのはもちろんですが、全長が約1.5cm長く、質量は75g重くなってしまいましたね。もう少しだけ小さくして欲しかったなぁ・・・
そもそもレンズって、性能だけでレンズの良し悪しを決定するのではなく、そのレンズが持っている魅力的な部分が自分が求めているものと一致しているかだと思います。フレアやゴーストがたくさん出てしまうオールドレンズのような写りになるレンズが魅力的だったり、カリッカリのシャープな写りの現代的なレンズが魅力的だったりと、シチュエーションやその人の好みで違ってきます。そこがレンズ交換の楽しさなのかもしれません。
XF23mmはF1.4の新型、旧型とF2の3種類があるから、どれを選んでいいか迷いますね
写りだけならF1.4の新型が一番、機動力ならF2かな?
旧型は性能面で不満があるけど写りが素晴らしいので、多少の不満は許せちゃいますよ。
旧型はカリッカリのシャープな写真ではなく、線が細く繊細で柔らかな描写で撮れるところが魅力的なレンズです。私もある写真を見たのがきっかけで “このレンズを一度使ってみたい” という思いが強くなり、購入に至りました。
今回はこのレンズの魅力と残念な部分について、実際に使用してみた感想と作例を織り交ぜながらレビューしていきます。これから購入を検討されている方は是非参考にしてみてください。
主な仕様
型番 |
XF23mm F1.4 R |
XF23mm F1.4 R |
XF23mmF2 R |
発売日 | 2013年10月12日 | 2022年2月24日 | 2016年10月6日 |
価格 | 124,000円(税別) | 132,000円(税別) | 62,000円(税別) |
レンズ構成 | 8群11枚 非球面レンズ1枚 |
10群15枚 非球面レンズ2枚 EDレンズ3枚 |
6群10枚 非球面レンズ2枚 |
開放F値 | F1.4 | F1.4 | F2.0 |
絞り羽根 | 7枚 | 9枚 | 9枚 |
最短撮影距離 | 28cm | 19cm | 22cm |
最大径✕長さ | ø72mm × 63mm | Ø67mm×77.8mm | ø60.0mm x 51.9mm |
質量 | 300g | 375g | 180g |
フィルター径 | ø62mm | Ø58mm | ø43mm |
3種類の中で一番古いのは旧型。発売から約10年が経過しています。(2023年6月時点)
富士フイルムは2012年にX-PRO1を発売したんだけど、当時のイメージセンサーは1600万画素でしたね。
2014年3月にX-PRO2が発売され、ここでようやく2420万画素になりました。
当時はこの画素数であれば旧型で十分でしたね。
2022年9月にX-H2が発売され、4020万画素まで高画素化されました。
新型のレンズは4020万画素に対応出来る高い性能のレンズということになります。
なるほど、旧型よりあらゆる面で性能が高くないと4020万画素を活かすことが出来ませんよね・・・って、納得したらこれで終わっちゃいますので、ここから旧型の魅力についてレビューしていきますよ!
高い解像力とコントラストが魅力
新型に劣るかもしれませんが、旧型も優れた解像力とコントラストを提供し、細かなディテールをくっきりと捉えます。絞り開放F1.4から周辺部まで一貫したシャープネスを保ち、色彩やトーンの豊かさを表現します。写真の質感を向上させ、リアルなイメージを実現します。
繊細な写真が撮れる
このレンズは高解像度に加えて線が細く繊細な写真が撮れるので、風景写真でも使いたくなりますね。
ここに掲載している画像は縮小をかけており、若干解像度は落ちているものの、下の作例の通り白樺の樹木が一本一本潰れずに撮れているのがわかると思います。右下は一部を等倍で切り抜いた画像です。
[Capture One 22]にてRAW現像 – 絞りF5.6(Camera X-H1)
※画像クリックで拡大
JPEG撮って出し – 絞りF1.4(Camera X-T10)
※画像クリックで拡大
上の写真は早朝の湖で撮影しました。このレンズのおかげで、繊細な描写と全体的に柔らかな感じの写真が撮れました。
JPEG撮って出し – 絞りF8.0(Camera X-T2)
※画像クリックで拡大
このレンズならではの繊細な描画のおかげで、全体的に柔らかな雰囲気の桜を撮ることが出来ました。
高コントラストで鮮やかな写真が撮れる
撮影の状況にもよると思いますが、太陽を入れてもコントラストの低下はほとんど見られませんでした。
色乗りが良いので、紅葉や朝焼け、夕焼けと色鮮やかに撮りたいときに使いたいレンズです。
JPEG撮って出し – 絞りF1.4(Camera X-T2)
※画像クリックで拡大
逆光の中、絞り開放で撮影してみました。
コントラストの低下もなく、優等生なレンズです。
JPEG撮って出し – 絞りF2.5(Camera X-T2)
※画像クリックで拡大
11月の朝焼け。空が藍色と赤色の2色に染まってくるマジックアワーの時間帯。秒で色が変化していくので、どうしても撮る枚数が増えてしまいます。そんなとき、コントラストが高いこのレンズなら、JPEG撮って出しでも綺麗な写真を撮ることが出来ますよ。
クリエイティブなボケ表現が魅力
開放でF1.4なので、美しいボケ表現が可能です。被写体を際立たせながら背景を柔らかくぼかし、写真に奥行きと魅力を与えてくれるレンズです。ポートレートや風景写真など、幅広いシーンで自然で柔らかなボケを楽しむことが出来ます。
JPEG撮って出し – 絞りF2.0(Camera X-T2)
※画像クリックで拡大
JPEG撮って出し – 絞りF1.4(Camera X-H1)
※画像クリックで拡大
JPEG撮って出し – 絞りF1.4(Camera X-H1)
※画像クリックで拡大
絞りF1.4(写真上)とF6.4(写真下)のボケ比較です。
F1.4で撮ることで、手前の紅葉を目立たせる事が出来ていますね。
JPEG撮って出し – 絞りF6.4(Camera X-H1)
※画像クリックで拡大
換算35mmでもF1.4まで絞れるレンズなら、ボケ味を十分に楽しむことが出来ますよ。
JPEG撮って出し – 絞りF1.4(Camera X-H1)
※画像クリックで拡大
上の写真はピントを手前の紅葉に合わせて絞り開放(F1.4)で撮影
下の写真はF9で撮影しました。
JPEG撮って出し – 絞りF9(Camera X-H1)
※画像クリックで拡大
優れた建築撮影能力が魅力
このレンズは建築撮影にも優れた性能を発揮します。歪曲収差はデジタル的な補正に頼らずに、極限まで低減しているので、建物の直線性やディテールを正確に再現した写真を撮ることが出来ます。美しい建築物を写す際に頼りになるレンズです。
JPEG撮って出し – 絞りF1.4(Camera X-T2)
※画像クリックで拡大
[Capture One 22]にてRAW現像 – 絞りF1.4(Camera X-H1)
※画像クリックで拡大
レンズそのものの性能で歪みを押さえているので、RAWファイルの状態でも線がまっすぐなのがわかります。歪みが気にならないのでで、直線が多い建物などを撮るのが楽しくなるレンズですよ。
自然な視野の焦点距離が魅力
XF23mm F1.4の焦点距離は35mm相当(角度63°)※1、人間の視野に近い画角※2 なので、自然な視点で被写体を捉えることができます。スナップや風景など、あらゆるシーンを美しく切り取ることが魅了のレンズです。
ちなみに、ぼんやり眺めているときの視野は35mmが近いらしいですよ。
焦点距離 35mm vs. 28mm
28mm(角度76°)との比較をしてみましたが、想像していたよりは差がありませんでした。これくらい広さを感じられるなら、35mm(角度63°)でも窮屈さは感じないですね。
焦点距離35mm(X-H1+XF23mm F1.4 R)
※写真クリックで拡大
焦点距離28mm(SONY RX100)
35mm(写真上)と比較すると28mm(写真下)は奥行き感がありますね。
でも、こうやって見比べてみないと、画角の差はわからないですね。ちょっと以外でした。
焦点距離 35mm vs. 24mm
今度は24mm(角度83°)との違いを見てみましょう。35mm(角度63°)は焦点距離で11mm差、角度は17°差があります。撮影した写真で比較してみるとわかりますが、24mmの画角はさすがに広がりと奥行き感がありますね。
焦点距離35mm(X-T2+XF23mm F1.4 R)
※写真クリックで拡大
焦点距離24mm(X-T10+XF16mm F2.8 R WR)
24mmの画角となると、広角レンズで撮ってるなという感じがしますね。
でも、斜めの位置から撮影するなど遠近感を出した撮り方をすれば、上の写真のように広がりを感じられる写真を35mmの画角でも撮ることが出来ますよ。
ここが残念
旧型はパープルフリンジとゴーストが発生します。オールドレンズならゴースト、フレアも素敵なポイントの一つかもしれませんが、このレンズの場合はパーオルフリンジとゴーストは発生しないような設計だったら良かったのにと残念に思いました。
パープルフリンジ
極端に光が強い部分は、枝の周辺が青くなっているのがわかると思います。せっかく良い写真を撮ってもパープルフリンジのおかげで台無しになるかも知れません。画像補正ツールなどで修正することは可能と思いますが、出来たとしても面倒ですよね。
JPEG撮って出し – 絞りF1.4(Camera X-T2)
※画像クリックで拡大
ゴースト
こちらは強い光をが入った時に発生することがあるのはゴーストです。
写真下では2箇所にゴーストが発生しているのがわかると思います。ただ、ゴースト自体は全てのパターンで発生する訳ではなく、太陽の場所とか時間帯でも変わってきますので、撮影する際は太陽との位置関係を考えながら撮ると良いでしょう。
JPEG撮って出し – 絞りF1.4(Camera X-T2)
※画像クリックで拡大
おわりに
XF23mm F1.4 R(旧型)の魅力についてレビューさせて頂きました。魅力を伝えきれていない部分があったと思いますが、このレンズは大人気のXF35mm F1.4 Rと同じくらい神レンズじゃないかと思っています。
当然、設計が古いこともあり、パーブルフリンジ、ゴースト、AFが遅め、撮影可能な最短距離が他2種類と比べて長め・・・とか残念なところがありました。
それでも、それを我慢出来るくらい最高のレンズだと思いますので、これからレンズを一本購入したいと思っている方で興味をもった方は、是非、このレンズも候補に入れてみてはいかがでしょうか?
コメント